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「ひかる、言っとくけど、俺だって男だ」
「…え?」
突然の強い口調にひかるが少し驚いた。
「『あっくん』だって男だって言ってんだよ」
「でも…」
「でも…じゃねーの。俺だってスケベだし、ひかるが思ってるよりいろいろ考えたりしてるわけ。それが普通ってもんなの」
「…普通…?」
「そういうこと。性欲なんて食欲と同じ。カラダが自然に欲するもんだ。…ひかるだって、そういうの、感じるだろう?」
…これは言い過ぎか。
ひかるにわからせたくて勢い余って突いた言葉に、ひかるは急に顔を曇らせた。
「…今は…したいなんて…思わない…」
見たことのないひかるの陰(カゲ)った表情に胸の奥に痛みにも似た感情が滲む。
そして、ひかるの次の言葉に、
俺は一瞬言葉を失った。
「…食欲と同じくらいだから…手軽な方がいいの…?簡単に手に入って…手頃に味わえる…」
「…ひかる、何言って…」
ひかるは悲しげに小さく笑った。
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