遠回り

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「あっくんにはいたの…?そう…思える人…」 「…随分…前に。若い頃の話。この資格取ろうと思って勉強漬けになって…別れちまった」 「…そっか…」 「…私にも…できるかな…そういう…人…」 「…当たり前だろ」 今度はじわりと涙が込み上げた。 私はあっくんの胸に顔を埋めた。 あたたかいあっくんの胸の中は やっぱり他の男の人とは違うんだ… 安心できて… ホッとする… 私は再び目を閉じて深呼吸をすると 顔を上げた。 「…カレーライス、準備するね」 「…ん、頼む」 私はあっくんより先にキッチンに戻った。
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