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ひかるが行ってしばらく経ってから俺もキッチンに向かった。
テーブルに夕飯を並べるひかるの背中を見て、元凶(ゲンキョウ)となったあの雑誌をキッチンのゴミ箱に投げ込んだ。
「ウマそうな匂い」
俺はその匂いに吸い寄せられるようにテーブルへ近付いた。
「ウマそ」
テーブルの上にはカレーライスと彩(イロドリ)のいいサラダ。
「あっくん、ビール?」
「…いや、後にする」
俺はそう言いながら冷蔵庫からウーロン茶を取り出した。
「いただきます」
「いただきます」
二人で向かい合わせに食べる夕飯。
ひかるが笑うたびに
下睫毛(シタマツゲ)に残る涙の煌(キラ)めきが俺の目に突き刺さる。
だけど、ひかるが笑うから
俺も笑ってカレーを食うんだ。
「ひかる、これ、ウマい」
「でしょ?」
そうだ…
これでいい。
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