遠回り

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スマホを耳に当てると、もう向こうはお袋に代わっていた。 『もう、ひかるちゃん、こっちに帰さないつもりじゃないでしょうね?』 「何言ってんだよ」 俺とお袋の会話が始まると、ひかるはキッチンに戻って料理を再開した。 『ほらね、結局、母さんが言ったとおりになったじゃないの。あ、暁人、いいこと教えといてあげるけど…』 お袋はここで次の言葉を溜める。 もったい付けるのはお袋のいつものやり方だ。 「なんなんだよ?」 お袋が聞きたいのは俺のこの一言。 これさえ聞ければすぐにでもしゃべり出す。 『もしもひかるちゃんとどうにかなっても、母さんは賛成だからね』 「はあ?」 『それに、秀子さんの許可ももらってるから安心しなさい。あ!だけど、まだ赤ちゃんは早いわね、ひかるちゃん、これから就職だし』 「…何考えてんだよ?切るぞ」 俺は電話を切った。
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