遠回り

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「すごーい。難しい本がいっぱい」 「勉強ばっかしてた時のもんだな。今もたまに掘り返してるけど」 俺もひかるのためにどうやって片付けようかと部屋を見渡した。 すると、ひかるが声を漏らした。 「…あ」 ひかるは段ボールの中を見つめている。 「どした?」 俺も段ボールに近付いて…思わず変な声が出た。 「うわ」 …なんでここにあんだよ? 俺は慌ててその段ボールの口を閉じた。 「…あっくんも…そういうの、読むの…?」 ひかるが見つけたのは、存在も忘れていたアダルト雑誌。 俺は変に焦るがひかるは全く動じない。 むしろ、この顔は… …嫌な予感。 「ねえ、あっくん…」 ひかるのこういう時は 何かをねだる時。 この顔だけは昔と少しも変っちゃいねえ。 興味津々で…少々の危険も覗いてみたいって顔だ。 来るな、来るな… 「ねえ、あっくん…ちょっとだけ…見ちゃ…ダメ?」 …来た。
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