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…いかん。いかん。
「別にねえよ」
俺はそう言ったのに、ひかるは聞いていなかったのか、俺の肩に手を置いて耳のすぐ横で言った。
「ねえ、あっくん。ここに寝てみて」
「…は?」
「あっくん、たぶん自分が思ってるより、凝り性だよ。肩もだけど、背中も腰も、マッサージしてあげる」
「そんなに凝ってねえよ」
俺は肩をぐるぐる回して言った。
「自覚症状があんまりない人もいるの。早く寝て」
ひかるはなんだか知らねえが真面目に言った。
「…うるさいな。お袋みてえだな…」
俺はぶつぶつ言いながら、仕方なくうつ伏せに寝そべった。
…顔を横に逸(ソ)らした。
ひかるのベッドには
日が浅いのに
もう…
ひかるの匂いが染みている気がしたから。
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