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「うん。あっくん、見て見て…」
ひかるは部屋の隅に残っていた段ボールを本棚のそばに引っ張り出してきた。
ひかるが座り込んで段ボールを開けるので俺もその脇に胡坐(アグラ)をかいて座った。
「じゃじゃーん」
ひかるが取り出したのは古びた絵本。
「…なんだ、これ?」
「昔から大事にしてる私の絵本。もう…お守りみたいなもの」
「…これが?」
俺がその一冊を手にして表紙をめくると、中のページはボロボロな上に、ところどころ落書きもあった。
「…ひかる…昔、本なんて読んでたのか?」
ひかるは俺といれば外遊びが大好きで駆けまわる、どちらかと言えばおてんばタイプの子供だったはずだ。
本を読んでいるイメージなんてこれっぽっちもなかった。
けれど、その後のひかるの言葉で俺は静かに納得した。
「…お兄ちゃんと…読んだ絵本…」
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