新生活ー2

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「うん。あっくん、見て見て…」 ひかるは部屋の隅に残っていた段ボールを本棚のそばに引っ張り出してきた。 ひかるが座り込んで段ボールを開けるので俺もその脇に胡坐(アグラ)をかいて座った。 「じゃじゃーん」 ひかるが取り出したのは古びた絵本。 「…なんだ、これ?」 「昔から大事にしてる私の絵本。もう…お守りみたいなもの」 「…これが?」 俺がその一冊を手にして表紙をめくると、中のページはボロボロな上に、ところどころ落書きもあった。 「…ひかる…昔、本なんて読んでたのか?」 ひかるは俺といれば外遊びが大好きで駆けまわる、どちらかと言えばおてんばタイプの子供だったはずだ。 本を読んでいるイメージなんてこれっぽっちもなかった。 けれど、その後のひかるの言葉で俺は静かに納得した。 「…お兄ちゃんと…読んだ絵本…」
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