新生活ー2

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こんなふうに三人で並んだことなど… …一度もなかった。 もしもひかるが夢見ていたなら… 同じ夢を俺も見ていた。 徐々に埋まっていく本棚を見つめながら 俺はひかるに掛ける言葉を探していた。 それでも上手く見つけられずに 俺は首を左右に動かして、ゆっくりと捻(ヒネ)った。 「久しぶりにこんなことしたら…肩凝った」 別に、嘘ではなかった。 自分で組み立てる家具なんて買ったことがないし、やり始めると案外面白くて、無理な体勢にも関わらず一気に仕上げてしまった。 「大丈夫?」 最後の段ボールを空にしたひかるが俺を心配そうに振り返った。 そして、何かを閃(ヒラメ)いたように、 ただでさえデカい目をさらに大きく見開いた。 「あっくん。肩、揉(モ)んであげようか?」
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