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私はグラスの水を一気に飲み干した。
静かな部屋には私の喉(ノド)の音が妙に目立って聞こえた。
静けさに耐えられなくなったのか、あっくんが口を開く。
「…っとに…マジで溺れやがって」
「私…溺れたの?」
「…寸前。まあ…疲れてたんだろ」
「…ごめんなさい」
そこでまた沈黙になる。
…やっぱり…
その状況だと…
私は胸元の分厚いタオルをキュッと掴む。
すると、あっくんがおでこを掻(カ)きながらそっぽを向く。
「い…言っとくけど、見てねえからな」
「…え?」
「ちゃんと…見ねえように引き上げたからな」
「このタオル…」
「…目隠しだよ、目隠し」
「…こんなに…いっぱい…?」
「言っとくけどなあ、俺だって必死だったんだよ!ひかるに何かあったら俺の責任だし…」
「…あ、ごめん…あっくん」
私は思わずあっくんの腕に触れた。
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