太巻き

11/32
前へ
/32ページ
次へ
「…ひかる?どうしたの?」 あっくんに気を取られて、おぼつかない足取りになった私に理香が呼びかけた。 「…ううん、何でもない…」 私はそんな風に答えてしまった。 「まったく、酔っぱらいは困るわね」 理香は私の腕に自分の腕を絡めて私を引き寄せた。 「行くよ!!」 私は理香に引かれながらあっくんのいた位置を振り返った。 あっくんは私には気付いていない。 紺色のロングドレスの似合うスレンダーな美人が 私が理香にされているように あっくんの腕に露出した細い腕を… …絡めていた。 …あっくん… 「ほら、早く!」 理香に強く引かれて正面を向くと その瞬間にも 私の酔いは… …すっかり覚めていた。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1223人が本棚に入れています
本棚に追加