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ソファでカラダを起す。
私の腰から下にはあっくんの上着が掛けられていた。
「…あ、ごめん、あっくん、シワに…」
慌てて上着を取って形を整えると、
ぼんやりしていた頭が変に冴えてくる。
あっくんの上着から微かに香る甘い匂いが
私の鈍(ニブ)った嗅覚(キュウカク)を刺激する…
私は上着を少し自分から離しながら
ハンガーに掛けようと思ってゆっくりと立ち上がった。
「…あっくん…ご飯、ちゃんと食べた…?」
のろのろと動きながら私は思ってもないことを口にしていた。
「…適当にな」
「…そっか」
それ以上は聞くのを止めた。
「…お風呂、行くね」
私は上着をハンガーに掛けると、それをリビングに残したままお風呂場へ向かった。
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