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ひかるが俺の腕にそっと触れ、すぐにその手を引っ込めた。
ひかるが俺を見つめる。
部屋が暗いことがプラスなのかマイナスなのか。
ひかるの上目遣いの視線に
今は冷静に見つめ返すことが出来ない。
確かにひかるに何かあってはと必死になった。
ひかるのカラダを見ないようにするのにも必死だった。
『見ていない』
見てねえよ…
…少ししか。
あの状況で少しも視界に入れずにひかるを引き上げるなんて無理だろ!?
…自分に言い訳するようで情けねえが、これが俺の言い分だ。
あれは見た内には入らねえから、ひかるには『見てない』ってことでいいだろ?
俺が胸の内で言い訳を並べていると、ひかるがクスクスと笑い出す。
俺は心ん中を見透かされたのかと思って内心慌てた。
「…何だよ?」
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