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「し…したくなったって…な、何がだよ?」
ひかるの横で俺の背筋はピンと張った。
ひかるが寄り添う腕に力が入っちまう。
自分の心臓の音が妙に近くで聞こえるのは気のせいか…
俺の問いに、ひかるは自分の腕に力を込め、俺の腕に顔を寄せて答えた。
「…ギュって…したくなったん…だもん…」
コイツは…
自分が今どんな格好して言ってるのかわかってんのか…?
知らないうちに瞬(マバタ)きが増えていた。
『バーカ、何言ってんだよ』
喉元まで出かかってる言葉を、
口にするのが惜しくなっていた。
すると、ひかるの方が先に口を開いた。
「…考えてみたら…ずっと一緒にいたのに…あっくんと腕を組んだのは…初めてかもね…」
「…そうだったか?」
俺は考えるフリをした。
思考回路なんて、もはや正常に働かねえ。
「…そうだよ。ほら、ちっちゃい頃は身長差がおっきかったから。だからいつも…手、繋いでたよね?」
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