太巻き

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私は自分からはそれほど話すこともなく、短い相槌を打っては美味しい料理を頬張っていた。 みんな自分がどこのアパートで独り暮らしだとか、実家から片道1時間半かけて通ってるだとか、いろいろなことを教えてくれたけど、 私はあっくんとの同居のことは… …話さなかった。 なんとなく… 理香に話した時の反応を見て… それが普通じゃない…って、思われたことに 少しショックも受けていた。 兄と一緒に住んでいると言えば話は早いけど、兄ではないし、 彼氏と住んでいると言えば恋人との同棲で話は終わる。 どちらの立場でもないあっくんとの同居生活は 他の人に理解してもらうのは 難しいことなんだと初めて知ったのだ。 楽しいひとときを過ごし、食事は終わる。 料理で満腹になり、サワーのグラスも空にした。 カラダが温まって、疲れのせいか少しぼんやりして だけどそれが心地よかった。
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