親友の名案

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「…男子には散々な目に遭わされたけど…あっくんだけは『かわいい』って言ってくれたから…私、それだけでうれしくって」 ひかるのはにかんだ笑顔。 「…だから…さっきは一人で勝手に落ち込んだの。…ごめんなさい。くだらなかった?」 「いや…別に」 俺は思わず後ずさった。 今、この瞬間にひかるを抱きしめない自分を心から褒めたい。 自分の理性を表彰したいくらいだ。 「…今日は…ワインにするかな…」 俺はわざとらしい言葉を添えてひかるから離れることに成功した。 ワインの準備をしながら考える。 ガキの頃の話なら 笑い話で済むかもしれねえが… ひかるは女で 周りは野獣。 『可愛い』『キレイだ』『似合ってるよ』 そんな言葉でひかるに擦り寄ってくるんじゃないのか…? …俺の… …ひかるに。
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