親友の名案

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とりあえず… ひかるの機嫌は上向いたようだ。 テーブルに着いて、二人で出来立てのパスタをフォークで巻いた。 「…てか、今日、配属決まったんだろ?ひかるが入りたかった部署には入れたのか?」 パスタはちょうどいい茹で具合と塩加減でウマかった。 「…ううん、ダメだった」 ひかるは首を振った。 「…なんだ、生産ナントカ…じゃなかったのか?」 「…うん」 ひかるはよほどショックだったのか、その話になると、再び顔を雲らせた。 けれど、突然パッと顔を上げた。 「ねえ、あっくん、覚えてるでしょ?あのアパートでお世話になったお隣の女の人!!」 「んあ?…ああ…あの…丸椅子の?」 「そう!彼女!田部さんだよ、田部さん!」 「…が、どうしたんだよ?」 「会社にいたの!!しかも同じ部署!」 「…マジか?」 「まじ」 ひかるは笑った。 「すげえ、偶然だな…。で、部署は?」 「ちょっと…待ってて」 するとひかるはフォークを置いて席を立った。
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