親友の名案

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ひかるの話を聞こうと耳を傾けるが、ひかるはそこで俯いたままなぜか顔を赤くする。 その頬の赤らみに、ささやかな期待を抱いてしまう。 「…お願いって?」 俺はわざとひかるの顔を下から覗き込むように見つめた。 目が合ったひかるの黒目が揺れる。 俺の視線に観念したのか、覚悟を決めたのか、ひかるは口を開いた。 「…あのね…」 ひかるの瞬きの回数が増えていた。 「…私…あっくんと暮らしてるでしょう?それでね、ホントは違うんだけ…ホントは違うからあっくんには悪いんだけど…。あ、あの、会社の…話したでしょ?親友の理香の案なんだけど…」 慌てたひかるの長い前置きに笑えてくる。 なんだか話が読めてきた。 俺は意地悪くひかるに聞いてみる。 「…で、何をお願いしたいんだ?」
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