親友の名案

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彼の視線が私を撫でた。 私の上がっていた唇の端が静かに下がる。 すると斜め向かいから田部さんが言った。 「青木くん、気を付けないとそういうの、セクハラになるわよ?」 「セクハラって…田部さん、怖いなあ、違うよね?森野さん」 「…あ、は、はい」 私は返事をしながら彼の席から離れた。 朝礼が始まり、連絡事項を確認する。 「森野くんは…今日は青木についてくれ。工場への出入りもあるから勉強してくるように」 「はい、わかりました」 北村本部長からの指示に私が返事をすると、視線の延長線上にいた青木さんが振り返ってにっこり笑った。 …というわけで 今日の教育係は青木さんに決定された。
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