親友の名案

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…ドキドキ…? 「…しませんけど…」 私が机の上の書類を片付けながら言うと、青木さんはわざとらしくため息をついた。 「…そこまではっきり言う?」 「…すみません、私…」 私は謝るべきなんだろうか…そう思より先に言葉が出てしまった。 「俺は…ドキドキしてるんだけどな…」 青木さんが私を見る。 私は思わず目を逸らした。 「目…逸らすってことは…少しは俺のこと、意識してるはずなんだけどな」 「そ、そういうことじゃありません!」 私は少しムキになって彼の目を見据えた。 けれど、彼があまりにも私をまっすぐに見つめるので、やっぱり耐えきれなくなって視線を伏せた。 男の人に見つめられるのは… …苦手。 あの時の… 彼の眼を思い出すのだ。 私をかわいいと言って…好きだと言って見降ろしていたあの眼を。 男の人は… 本当は思っていないようなことも… 簡単に言葉に出来てしまうから…
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