親友の名案

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視線を下に向けたままの私に 青木さんは白い歯を見せて笑った。 「ほーら、意識してる」 私は口を噤んだまま鼻から息を吐き出した。 「今朝…彼氏がいるって…言いましたよね?彼以外を異性として意識したりはしません」 私は早く部屋を出たくてまとめた資料を両手に抱えた。 「ああ、あの…彼氏ねぇ」 青木さんの唇の片方がわずかに吊り上がっていた。 「ねえ、今度…その彼に…会わせてもらえないかな?」 「あ、会う…?どうして?何のために?」 「どうしてって…ひかるちゃん、そんなに慌ててどうしたの?」 「…驚いただけです。会う理由なんて…ありませんよね?」 「そうだな…強いて言えば…確かめたいから」 「…確かめる…?」 私の眉間にはシワが浮かんでいるだろう。 そんな私を見て、彼は自信たっぷりに笑った。 「ひかるちゃん、彼氏がいるって、嘘でしょ?」
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