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その居酒屋はCE事業部では行きつけのお店らしい。
カウンターの前を通って奥の座敷が予約されていた。
一番遅れて入った私には
一番奥の上座が空けられていた。
「…わ…本部長、奥に…」
私がオロオロすると、本部長が手で早く座れと合図した。
「今日の主役だからな。森野くんのおかげで飲めるから」
豪快な本部長の笑い声を聞きながら、田部さんが隣で私の手を引いた。
「ほら、いいから座りなさい。始まらないでしょ?」
「…はい、すみません…」
私が座って、飲み物を注文する。
今日は青木さんが幹事役を務めるらしい。
彼がみんなの注文を取りまとめる。
「森野さんて、飲める方?」
田部さんがメニューを私に見せる。
彼女はもう生ビールを申告している。
「いえ…、飲めても少しだけです。ノンアルコールにしようかな…じゃあ、ノンアルコールのオレンジクーラー」
「ノンアルのオレンジクーラーだって!」
田部さんが私の注文を大きな声で復唱した。
「了解」
それを受けた青木さんが店員を呼んで飲み物を注文した。
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