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「え?じゃあ、交換してもらおう」 「あ、いえ…青木さんの言い間違いだったらお店の人は悪くないですし。それに、飲みやすいから少しなら大丈夫です。でも…ちょっと、ウーロン茶も頼ませてもらいますね」 私はグラスをそのままにしたまま今度はウーロン茶を自分で注文した。 その間に、先に届いたオレンジクーラーでみんなと順番に乾杯をした。 一人につき、一口。 わずかに口に含むだけ。 青木さんの番になって彼が私の向かいに座ると、田部さんが彼を睨んだ。 「ちょっと、コレ、ノンアルじゃなかったって。ちゃんと頼んだの?」 「嘘、マジで!?ごめん、言ってくれたら取り換えたのに。ごめん、俺、間違えたのかな?」 「しっかりしてよね?そう言えば私の頼んだチヂミは?枝豆もまだだし」 「聞いてみますよ。それより、先に彼女と乾杯させて下さいよ」 彼が言うと、横から本部長もビールのお代わりを青木さんに言いつけた。
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