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ドキリ…として ジワリ…と不安が広がる。 そんな私の心情を読み取ったのか、彼はいつもの笑顔を見せる。 「さ、行こう」 彼はさっきとは違ってしっかりした足取りで残りの階段を上がった。 酔いは…冷めたのだろうか。 階段の一番上まで到着すると同時に、私のバッグの中でスマホが震える。 きっと、あっくんから… 見なくてもわかる。 到着を知らせる連絡だろう。 私があっくんを探そうとして彼より前に出ようとすると、それを遮るように彼のカラダが私の前に立ちはだかった。 「…キャ」 私は壁に追いやられてる。 つまり、いわゆる『壁ドン』体勢。 けれど、相手が彼のその体勢は胸キュンどころか恐怖しか感じなかった。 「あお…青木さん、やめて」
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