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「…そんなっ」
私の教育係はもはや田部さんで、一日中一緒にいるのも手取り足取り細かく教えてくれるのも田部さんだ。
「ひかるちゃん、隠さなくてもいいんじゃない?仕事上仕方がないんだし。わかりますよね?いい大人なんだから」
青木さんは挑発的な言葉であっくんの正面に立った。
「大人…『あっくん』なんて可愛い呼び方だけど…ひかるちゃんより随分年上なんですね?彼氏って言うより…『お兄ちゃん』って感じだ」
あっくんは静かに応えた。
「俺と彼女がどう呼び合おうと関係ないでしょう?それに生憎(アイニク)兄貴でもないんでね」
「兄貴じゃなかったら…『彼氏』なんですか?もう、嘘はやめましょうよ。まあ、それは、ひかるちゃん、嘘が下手だからすぐにわかったけど…俺がそれを確信した理由、教えてあげましょうか?」
あっくんは短く答えた。
「いえ、結構です。お戻りを」
青木さんはそれを無視して話し始めた。
私に視線を向けながら。
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