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「あっくん!」
私はあっくんの腕に飛びついた。
あっくんが…本気だったから。
「あっくん、やめて!」
あっくんが腹を立てているのは…
…私のため。
私がなんとかあっくんの手を彼の襟(エリ)から離すと、青木さんが襟元を直して言った。
「…当たりか」
そして、どういう神経をしているのか私におどけた様子で聞いてくる。
「…欲しくならないの?男と一緒に住んでて」
逆撫でられた神経のせいで呼吸が荒くなって目の奥が熱くなった。
答えない私に彼は聞きたくもないのにさらに言葉を繋いだ。
「だったらさ、『彼氏』どころかこの男のこと、全然男として意識してないじゃん。俺だったらいつでも慰めてあげるよ?」
…いい加減にしてよ…
「いい加減にしなさい」
私の心の中の声と重なったのは…
階段の下から現れた…
…田部さんの声だった。
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