秘められた想い

14/35
前へ
/35ページ
次へ
「田部さん、ケーキ、食べましょう」 「えぇ?」 しゃがみこんでいた田部さんが立ち上がる。 「だってあれはあっくんへのお土産でしょう?」 「…いいんです。それに今は田部さんと食べたい気分です」 「…いいの?」 「はい!あっくんにはあそこのコンビニでデザート買って帰ります」 「わ、なんかあっくんに悪いわね…」 「大丈夫です。あっくん優しいから」 「…あなたって、それ、なんの計算もなしに言ってるのよね…。よく言えば小悪魔…悪く言えば悪女よ。もしかしてあっくんって…あなたの手のひらで転がされてるのかしら…」 「…え?何ですか?」 何やら田部さんがブツブツと独り言のように呟いている。 「…何でもないわ」 田部さんは呟きを終えると冷蔵庫からケーキの箱を取り出した。 「あっくんとあなたの優しさに甘えて、いただくわ」 彼女はウィンクしながらケーキの箱をそっと開けた。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1203人が本棚に入れています
本棚に追加