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「田部さん、ケーキ、食べましょう」
「えぇ?」
しゃがみこんでいた田部さんが立ち上がる。
「だってあれはあっくんへのお土産でしょう?」
「…いいんです。それに今は田部さんと食べたい気分です」
「…いいの?」
「はい!あっくんにはあそこのコンビニでデザート買って帰ります」
「わ、なんかあっくんに悪いわね…」
「大丈夫です。あっくん優しいから」
「…あなたって、それ、なんの計算もなしに言ってるのよね…。よく言えば小悪魔…悪く言えば悪女よ。もしかしてあっくんって…あなたの手のひらで転がされてるのかしら…」
「…え?何ですか?」
何やら田部さんがブツブツと独り言のように呟いている。
「…何でもないわ」
田部さんは呟きを終えると冷蔵庫からケーキの箱を取り出した。
「あっくんとあなたの優しさに甘えて、いただくわ」
彼女はウィンクしながらケーキの箱をそっと開けた。
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