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「彼と一緒に買いに行ってね…」
田部さんはいつかの日の思い出を
まるで昨日のことのように話し始めた。
「…もっといい椅子にしようって言ったんだけど、『そんなことにお金を使わなくていい』って言って、『代わりにウマいものでも食べに行こう』って…信じられないでしょ?あの彼が…こんなこと言ったなんて」
田部さんは笑ったけれど、目元はやっぱり…
…潤(ウル)んでいた。
私は小さく首を横に振った。
田部さんは深呼吸して再び口を開く。
「…今日は本当に…ありがとう。ゴミは私じゃないってわかったし…私もゴミじゃない。捨てなきゃいけないものもあるけれど…捨てなくてもいいものもあるって…わかったから」
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