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田部さんはふうと大きく息を吐き出した。
「…何から話せばいいのか困っちゃうんだけど、私、まどろっこしいの嫌いだから要点から言うけど」
田部さんはまるで世間話でもするかのように、食事の手を止めないまま切り出した。
「青木くんとは…付き合ってたの。ずっと昔に、ずっと短い期間」
「…え…」
ここで言葉を失っては失礼かと思い無理に言葉を繋げようとした。
「…そうなんですか…」
「あはは。本当に正直ねえ」
「…すみません…」
「いいのよ。驚くわよね?なんであんな男とって」
否定できずに言葉に詰まる。
こう言うところが私って…きっと子供なんだろうけど。
田部さんは少し遠くを見つめながら食事の手をわずかに緩める。
「ホント…何であんな男に…。自分でも…呆れてるんだけどね。どうしようもないの…本当に…」
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