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帰り道
私はカレールーを忘れずに買った。
マンションに帰るともちろんカレーのいい匂いはしてこないけれど、
野菜が煮込まれた優しい匂いが漂ってくる。
「おかえり。残業か?」
あっくんからおかえりを言ってもらうのは稀(マレ)だった。
いつも私の方が先に帰宅するから。
「うん。残業とね…」
私はカレールーを取り出しながら話を始めようとすると、あっくんがそれを受け取った。
「話は着替えてからな。着替えないとカレーが飛んだら大変だ」
あっくんは私が整えた胸元のリボンを見て言った。
「…うん、着替えて来るね」
私はカレーをあっくんに任せて自分の部屋へ入った。
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