秘められた想い-2

31/34
1204人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ
帰り道 私はカレールーを忘れずに買った。 マンションに帰るともちろんカレーのいい匂いはしてこないけれど、 野菜が煮込まれた優しい匂いが漂ってくる。 「おかえり。残業か?」 あっくんからおかえりを言ってもらうのは稀(マレ)だった。 いつも私の方が先に帰宅するから。 「うん。残業とね…」 私はカレールーを取り出しながら話を始めようとすると、あっくんがそれを受け取った。 「話は着替えてからな。着替えないとカレーが飛んだら大変だ」 あっくんは私が整えた胸元のリボンを見て言った。 「…うん、着替えて来るね」 私はカレーをあっくんに任せて自分の部屋へ入った。
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!