梅雨前線

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「…取られたくない…そう思うなら…ちゃんと言葉にしなくちゃね」 田部さんはティッシュを二、三枚取り出し私の顔を押さえるように涙を拭き取った。 「私は…彼じゃないからもちろん彼の気持ちはわからないけど、彼は本当に優しい男だから…自分の気持ちをあなたよりも先に言うことは…ないと思うの」 …どういうこと…? 「あなたを本当に大切に思ってるから…彼も今の関係を大切にしてるはずよ?自分のせいで…それを壊してしまうようなリスクは冒さないはず。言い換えれば、あなたの気持ちが自分にないのなら、自分の気持ちを押し殺してでも…あなたが心地いいと思う関係を、彼は演じ続けてくれると思うわ」
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