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そんなことをぼんやり思って、
私はアパートの前をぐるりと見渡す。
「あっくん……車は?」
「ああ、置いてきた。ひかるが酔ってるって聞いて……酔い覚ましに一緒に歩こうかと思ってさ」
「……あっくん……」
「でも、車で来ればよかったな。想像以上に酔ってるし」
あっくんはそう言って笑った。
……一緒に歩こうと思って……
あっくんのその気遣いだけで胸を抑えてしまいそうなほど
その辺りがキュンとくる。
「ひかる、大丈夫か?」
あっくんがもう一度言ったので、
私は心の中ではこう呟いた。
『大丈夫じゃ…ない』
すると、それが伝わってしまったのか、あっくんが背中を向けて少し屈(カガ)む。
……あっくん……?
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