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本当は……
食欲なんてなかったけれど、
自分から誘った手前、食べないわけにはいかなかった。
何で焼肉屋にしてしまったんだろうと、自分でも不思議に思う。
けれど、近場で理香の評価が五つ星だったので、なんとなくここに足が向いてしまった。
オシャレなお店よりも、ガヤガヤしていて煙たい店内の方が
今日は元気になれるような気がしたのかもしれない。
「……痩せたって言うより……ひかる、綺麗になったよね?」
「そんなことないよ……。仕事も忙しくなってるし、ホントに少し痩せたのかも」
「……ストレスじゃないの?」
「ストレス……?」
「ウチの部署で噂だよ?CE事業部は変わり者が多いって」
「……え、何、その噂!?そんなことないよ、みんないい人ばっかり」
自分の部署の妙な噂に肩を落としながら、否定すべきところを否定した。
すると、理香は空になった網の上にレバーを乗せた。
「……会社のストレスじゃなきゃ、プライベートね」
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