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外はもう暗い。
ひかるの部屋のカーテンを静かに閉める。
ベッドの脇のフローリングに座って
ひかるを見つめる。
汗で貼り付いた前髪をそっと掻き分け、
タオルで額を拭うと、
ひかるがゆっくりと目を開けた。
「……ワリイ。起しちまったな」
ひかるは遅い瞬(マバタ)きをしながら小さく首を横に振った。
「ううん……。何だかカラダが楽になってる……」
ひかるは徐々にしっかりと目を開く。
「楽になったって……すごい汗だぞ?」
俺はもう一度ひかるの額をタオルでなぞった。
けれど、その時
ひかるの額から高い熱は感じなかった。
タオルの代わりに手のひらを乗せてみても結果は同じだった。
「汗……掻(カ)いたのがよかったのかな……?」
ひかるの顔色もさっきよりも随分良くなっていた。
念のために熱を計らせると、
驚くことに、平熱に戻っていた。
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