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私の意識が遠退いていくと
それとは逆行してあっくんの意識は冴えてくる。
「ひかる、どうした?」
あっくんの声が私の耳に吹き込まれる。
……どうした?……じゃない……
「…もう……あっくんの……バカ……」
何時なのか、きっといつもの休日よりも日は高い。
カーテンの隙間から漏れる日射しは
朝の淡い光ではなくなっていた。
「あっくん……もう、起きないと……」
私が何とかあっくんの手を避(ヨ)けようとすると、
あっくんが私の耳タブを柔らかく噛んで冗談を言う。
「俺のカラダならちゃんと起きてる」
あっくんが私にカラダを押しつける。
「……あっくん……」
あっくんの笑えない冗談に、私のカラダも覚悟を決める。
その時だった。
ピンポーン
間の抜けた音が
二人の甘い空気に割って入った。
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