第1章

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詩歌句レッスン  第三話     小島ゆかり 南日歌壇選者 コスモス」選者 1956年名古屋生まれ。東京在住 娘に歌人の小島なお・・・・2011年より南日歌壇選者 歌集に「希望」「優春」「泥と青葉」 三月「和歌で楽しむ源氏物語」刊行予定  客観的なまなざしで 歌を作り推敲するとき、表現の細かいところを直したり、工夫したりするのですが、案外わすれてしまうことがあります。それは、「自分を知らない人が読んだとき、どんな風に伝わるだろうか」と、少し距離を置いて見てみる{客観的なまなざし}です   *あなたとの出会いは偶然でもそれがわたしの一生の光となりぬ* なかなか素敵な、愛の歌です。みなさんは、この歌をどのように想像しますか。 ①ふとした出会いから、最愛の人にまぐり会えたよろこびの歌。作者は若い女性 ②年齢を重ねた夫婦の、思いやりと愛情の歌。 ③長年の友情にしみじみと感謝する友人への歌 しかしじっさいの作者は七十代後半の男性。長く奥さんを介護している方です。 すると、少し考えてしまいますね。 夫婦としての歳月に加え、妻を介護する日々を背景として、作者はこの深く尊い愛情に到達したのです。この大事なところが、このままで伝わるのかどうか。残念ながら、原作の表現ではそこまでは読み取れません。こんなにすばらしい内容なのに、じつにもったいないと思います そこで、次のような推敲のアイデアをだしました。 *介護して妻と在る日々 偶然の出会ひ一生の光となりぬ* この歌の奥にある苦さや寂しさをも読者に伝えることができるのではないでしょうか。そしてそれこそが、この一首を生かす重要なポイントなのです。 自分の歌を{客観的なまなざし}で見ることを忘れないでください {以上南日歌壇より} 最近選歌をするだけではなく、投稿者の歌力を付ける事にも目を向けてくださるので、これから短歌を作る上で大いに役立つと思うのです 投稿して心しなければならないのは、一度くらい入選しても天狗にならないことです。 自分は入選するような歌が詠めるのだ、力がついたのだと勘違いする投稿者は意外と多いのです 雅の所属する結社の選者はそこのところを強くいましめております 沢山の投稿歌の中から偶然に一首取られたくらいで喜んでいてはならないとこころして励むようにしたいものです    平成27年2月27日   雅夢士
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