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やっとの思いで入った1本の指ですら、苦しくて息が詰まる。
は、は、と短い息を吐くだけで、だんだん苦しくなってくる。
「ぅう…ん、ッ怜さ、ん」
なんで、昨日はできたはずなのに。
「理世くん?あと15分でお客様いらっしゃるよ。
準備できた?」
外でノックする八雲さんの声が聞こえる。
「む、むりです、僕…」
涙がぼろぼろこぼれ落ちる。
怖い。
慣らすことすら、うまくできない。
「待ってよ理世くん、時間ないよ」
「うまく…できません、」
指が入らない。
そう言うのは恥ずかしくて。
どうすればいいのかわかんなくて。
「理世くん、一旦鍵あけて」
「え、そんな、むりですっ」
ローションでぬるぬるしてるし、すぐズボンなんて履けない。
「怜さんの信用がなくなってもいいの」
その言葉で、外で八雲さんが怒ってるのがわかった。
僕に甘える権利なんてないんだと思い知った。
そのままの格好で鍵を開ける。
扉を開けて八雲さんが入ってきた。
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