episode.5

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「失礼します」 ノックをして、指定された個室の中へ足を踏み入れる。 緊張で心臓が壊れそうなほど大きく脈をうつ。 初めての、仕事だ。 「ああ、君かい。ずいぶんと可愛らしい格好をしているね」 中にいたのは、50代くらいの男性だった。 どこにでもいるようなリーマンのようだ。 そのおじさんはにたりと笑って、立ち上がりこちらへと歩み寄ってくる。 吐き気がしたけれど、それをこらえて笑い返しながらお礼を言った。 「じゃあ、早速だけど…」 おじさんは僕の両肩を掴んで、ベッドへ押し倒した。 薄暗い照明の下に影ができる。 にこりと笑いかけながら、おじさんの服のボタンに手を伸ばした。 「初めてだから…優しくしてくださいね」 そう呟くと、おじさんは嬉しそうに笑った。
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