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この地域は俗にいう不良校なるものは存在しないはずなので、地元の方であろうことは容易に想像がついた。
「おい」
お兄さんはぺこぺこと頭を下げる浅黄君をガン無視して、一歩私の方へ踏み出した。
ドスンと地面が揺れる。
お兄さんの唾が私の顔にかかった。
私はそれを拭う余裕すら失い、ただただ震えあがることしかできなくなった。
ガチガチと奥歯が鳴る。
「お前のせいで、コーラ落っことしちまったじゃねーか」
へっコーラ?
お兄さんがクイックイッと顎で下を見るように指示してきたのでおずおずと視線をその先に向けると、黒い液体が半分くらい入った赤いキャップのペットボトルがこてんと転がっていた。
キャップが緩かったのか、黒い液体が床に点々と小さく飛び散っている。
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