こころ

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「え……転校?」 中学2年に上がる前、まだ雪が舞う寒い季節。 それは、突然だった。 「……2年から、千葉の学校……姉貴も向こうの高校受験行ってる」 「あかり先輩も……でも、じゃー天野先輩とは?!付き合ってたやん……」 固く握り締められた手のひらは寒さで感覚をなくしている。 「……わからん、きっと別れると思う。」 「そんな……うちの憧れのカップルやったのに……」 神谷(かみたに)の顔が曇った。 「姉貴も毎日泣いとった。毎日先輩と電話しとるみたいやけど……」 「神谷は……平気なん?皆と離れて」 「どーやろ、これが初めての転校やないし、まだわからん……」 「そっか…………部活の人らには?言ったん?」 「……まだ…」 フイッと顔を背けてしまった神谷。 サッカー部の人らが大好きで、仲間が大好きな神谷がまだ誰にも言ってないなんて……。 「なんでうちには言ったん?」 「なんでやろ……。なんか、言っとかなあかん気がした…」 そう言って雪の降る道を歩き出す。 「そか……」 その後ろをゆっくりと追いかけた。
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