こころ

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学年が上がってうちらは小学五年生になった。 この頃から女子の間で恋バナが流行った。 「なーなー、あやちゃんは誰が好き?」 「うちはたくと君!内緒やで?」 「きゃー!ええやん!応援するで!うちはゆうとくんが好きやねん!とらんといてな?」 こんな会話が教室の隅っこで行われていた。 うちはそういうのに興味がなくて、友達の傍におりつつも 「ふーん」 とか 「あー、かっこええんちゃう?」 とか 曖昧な返事をしてた。 何でか知らんけどこの頃になると男女離れて遊ぶ事が当たり前みたいになってきて、神谷と二人だけで話す回数は減っていた。 そんな頃、昼休みにまた恋バナになった。 「なー、神谷どー思う?」 「神谷?背低いよなー、けどサッカーうまいで」 「そーなん?あ、でも前ノート運ぶの手伝ってくれた」 「意外と可愛い系の顔やんなー」 「やろやろ?うち狙ってんねん」 そんな言葉を聞いた。 「真はどー思う?仲良かったよな?」 ドキッとした。 あんまりわからんだし、ここで下手なこと言うと仲間はずれになる事もあるから。 「んー、どやろかわいいとは思うよ」 当り障りのない事を言ったと思った。 「真が男子の事でなんか言うの珍しいな!」 「まさか、好き?」 ニヤニヤした顔で聞かれて冷や汗が流れた。 「ぜ、全然。そんなん無いし」 手を全力で振って否定した。 「やんなー、ほなうち狙おー」 「えー、うちも好きかもー」 「ほな、二人で狙う?」 神谷モテ期かよ。 とか思った気がする。 その時はほんまに何も想ってなかったと思う。 けど、今思うとほかの男子の事聞かれた時よりも焦ってたかも。 記憶が綺麗に修整されとるかもしれやんけど。
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