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はぁ。私は観念し、渋々ながら夢の内容を大まかに話し出した。いい年して、白馬の王子様を文字通り夢見るなど、笑われて然りだろう。
さらに、自慢ではないがガサツさと女子力の低さに定評のある私だ。結果の分かっている告白を自ら実行せねばならない、極限の羞恥プレイ。こういうのいじめって言うんじゃないかな。
「白馬の王子様ぁ? ……っくく、はっははははは! 何だよソレ、そりゃあ幸せ顔になるわけだ! っはははは!」
「恋愛に夢見すぎだってー、夢だけに……あれ、ウケない?」
「ははーん、なるほどねぇ……」
予想を(悪い意味で)裏切らない反応を見せるチエ、良く分からない反応を示しているユウ、何かを悟ったかのようなユキ。三者三様の反応を見て、私の顔は火を吹いた。
特に最後の、ユキの一言が一番恥ずかしい。彼女には”王子様”の正体まで伝わってしまったのだろう、恐らく。
「だから言いたくなかったのにー……」
「まぁまぁ、落ち込まないで。純情乙女なひかりんに神様からのプレゼントってことでしょー」
「光莉が乙女? 冗談きついよ由姫、このグループに『乙女』なんかお前しかいねーって!」
「どういう意味よっ!」
やはりユキには伝わっていたらしい。
だが、その含みに気付かず、物凄く失礼な”事実”を言い放つチエ。反論するユウ。少しお馬鹿なこのやりとりは、今や私にとって慣れた光景だ。
「辱しめ《こんなの》が神様のプレゼントだっていうなら、神様は悪魔だ」
上体を反らせ椅子の背もたれに力なく寄り掛かり、私は神罰が下りそうな言葉を唸るように絞り出した。
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