-Days.8- A.part

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空は一面が金色に輝き、そこにある色は他に雲の白しかない。その雲はある一点を中心として波紋状に再配列され、幾重にも層を成して果てない彼方へと続いていた。 私の目の前には、新世先輩がいる。会話もしていたのだから、これは特に変わったところではない。私たちが今いる通学路の道も、また同様だ。しかし、新世先輩の背後――私から見て先輩を挟んだ向こう側に、有り得ないものが存在していた。 先輩より頭一つ高くといったところに、金色に輝く大きな球体オブジェがある。球の半ばほどの所から三本の細い脚が伸びており、バネのように螺旋を描いて接地していた。 その球体部分を椅子にして腰を下ろす者がいる。古代ローマ人が着ていた衣類(トーガ)と天女の羽衣を合わせたような乳白色の衣を着た、中性的な顔たちの男性だ。 胸元には朱色の軽鎧を装備し、流れるような金髪を風に遊ばせている。そして何より目を引くのが、背中から生えた大きな二対の翼だ。白い一対と赤い一対、どちらも非常に絶妙な美しさを持っていた。 この男性こそが、先輩の言う大天使なのだろう。説明をしてもらうまでもなく、一目瞭然だった。 「どうだい? これが僕のパートナー。世界の腐敗に嘆き、新世の輝きを望む者さ」 私は知らず知らずのうち、片足を引いて警戒を強めていた。確かに神々しく、息を呑むほどに美しい。だがその美しさが何故か、私の背筋に冷たいものを走らせていた。
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