届かなかったラブレター

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  「あの映画は凄ぇけど、 ドクターレクターはいつも孤独で…… 観てるこっちまで、寒い」 「ん……」 「だから志緒、あっためて」 「充分、あったかいじゃない……」 「……もっとあっためて。お前で」 甘える声が、心も体もとろかせる。 いつの間にか上から組み敷かれて、 彼の口唇がいいように あたしのあちこちをなぞっていった。 あたしを抱きしめて、 ゆっくり馴染んでくる 彼自身の熱に少しずつ揺らされながら、 また涙が零れる。 呼吸を乱す 拓海さんの口唇から覗く、 赤く湿った舌が目尻に 吸い付くようにして、 涙を舐め取っていった。 拓海さんに抱かれる度、 まるで食べられているような 気がしてしまう。 .
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