届かなかったラブレター

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  今のだって、たぶんそう。 拓海さんは、 この映画を何度だって 観たはずだ。 ただ、あたしに見せたかったんだろう。 彼が本当に見たかったのは、 あたしの反応の方。 そうして、あたしのかたちを しっかり見たかったんだ、 きっと。 今日のところは、 とりあえずお気に召したんだろう。 ……だって、昂ぶってるのが判る。 拓海さんだって いつもより感じてるのが、 自分の体を通して伝わる。 本当に傲慢な人。 あたしを隅から隅まで確かめておいて、 その上で弄んで、 支配したいんでしょう。 ──レクター博士みたいに。 お前なんかいつでも殺せるんだと。 でも、勿体ないからあえてしないんだと。 .
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