26人が本棚に入れています
本棚に追加
「ねえたっくん。」
「なあにかあさん。」
「たっくん…あさっては何の日なのか知っている?」
「あさって…あさっては結婚披露宴の予定が一件入っている…」
「たっくんのお仕事の予定のことなんか聞いていないわよ…たっくん…あさってホワイトデーよ。」
「ああ…ホワイトデーだった…すっかり忘れていたよ。」
「たっくん…忘れちゃだめよ…かあさん…たっくんからのホワイトデーのプレゼントを心待ちにしているのよ。」
アタシの問いかけに対して、たっくんは分かっているようでいないような声で『分かったよ…』と言うてから、食べかけのツナサンドを食べていた…
朝ごはんのあと、たっくんはイスにかけているネイビーのジャケットと黒のてさげカバンを手に取ったあと『行ってくるよ。』とアタシに言うて家を出た。
アタシは、いよてつ余戸(ようご)駅の方へ向かって歩いて行くたっくんの背中を見つめながらふたりが出会った時の頃を思い出していた…
最初のコメントを投稿しよう!