第一話 子丑

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「えーと、 ここの宮に入ると、おぉ?」 明るい日差しを受けて、 本を読みながら歩いていた ヨシキの肩に 鳩が舞い降りて来た。 近くにある大きな神社から やって来たのかと思ったが、 人通りの多いこの通りに 降りてくる鳥も まばらだったので 珍しく感じて、 ちょっとだけ ヨシキの笑みを誘った。 「鳩かぁ、驚いたなぁ。 食べるものなんか 持ってないぞ。 降りろよ、ほら」 肩を揺すって 下ろそうとするのだが、 鳩は逆の肩に移って 飛ぶ気配もない。 道行く人は そんなヨシキを笑いながら 見ては去って行き、 そろそろヨシキも 手を使って下ろすべきかと 思った時に その声が掛かって来た。
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