KISMET

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ジェイの顔が近づき、タバコとお酒の香りがした。 あれ? 夢って…匂いも感じるんだっけ? ジェイの唇が私の唇に触れた。 少しかさついたジェイの唇が開くと私の唇を舐める。 なにこれ、なにこれ…!! こんなに生々しい感触…嘘でしょ? ゆっくり私の唇から離れ私の顔をジッと見つめる。 「もっとして欲しい?」 ジェイが私の耳にそっと囁く。 夢なのに…自分の夢なのに…恥ずかしさが込み上げてきて顔から火が出そう。 そしてジェイの指が私の頬に触れると…思いっきり抓った。 「いぃいったぁいっ!!」 思わずジェイの手を振り払う。 抓られた頬に触れ…私は凍りついた。 「ゆ…夢じゃない…」 恥ずかしさと、恥ずかしさと、恥ずかしさが一気に溢れ出して両手で顔を覆った。 指の隙間からジェイを盗み見るとジェイがお腹を抱えて笑い転げている。 「お前…面白いヤツだな…くくくっ!!」 「なんで?私…どうなってんの?タイムスリップ?え?ブラックホール?」 「意味わかんねー単語並べるな、マジウケるわ!」 ハァハァ言いながら笑い転げてるジェイに頭がクラクラしてきた。 段々と夕方の出来事を思い出してきた。 よそ見して歩いてたら、ジェイにぶつかって…それで…お酒飲まされて…? 「わ、私にお酒を飲ませて…私をどうするつもりだったの?」 チラッと私の顔を見てまた笑い出した。 「お前、本当に面白いわ。」 「てか、なんで日本語?」 「あ?俺日本に留学してたから。お前本当に俺のファンなの?俺の事なんも知らねーじゃん。」 そ、そうなの?知らなかった…。 でも…目の前にいるのは本物のジェイ…。 日本語ペラペラで、いろいろイメージと違うジェイに戸惑う。 ジェイがいきなり横に座り直して私の肩を抱く。 「じゃあ、夢じゃないってわかったところで、続きしようか…」 ジェイの指が私のブラウスのボタンに触れた。 驚いてジェイの手を振りほどきベッドから逃げ出した。
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