KISMET

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「あれー?さっきまでの積極的な女の子はどこ行ったのー?」 また一層恥ずかしさが込み上げてきて元いた部屋に逃げ込んだ。 あり得ない! あり得ない!! 私なんて事を…ジェイに自分から抱きついて…き、キスを!?! あー、神様っ! これはやっぱ夢でしたーって言ってー!! ドアが開き、腕組みしたジェイが立っている。 慌ててカバンを抱えると出口を探す。 「ねー、続きやんないの?」 ジェイが追い詰めるようにゆっくり近づいて来る。 逃げ場を確保しようと部屋を見渡す。 「か、帰りますっ!!」 壁まで追い詰められ、両手で私を囲むように壁に手を付くと私の顔をニヤニヤしながら見つめてくる。 そして私の短いブラウスから出ているお腹に触れる。 「こんな格好で、こんな時間に外に出るのって、いくら平和な日本でも…危険だと思うけど。」 こんな時間って…私は腕時計を見て眩暈がした。 午前一時って…あり得ないーっ!! 終電もないし、門限もとっくに過ぎてるー!! ママ…完璧にブチ切れだ…。 「お前…俺じゃない事で焦ってない?」 涙目の私を呆れた顔で眺めるジェイ。 「だって…門限…過ぎてる…」 「は?お前いくつなの?」 「18…」 「ふぅーん。ティーンなんだ。ま、俺には関係ないし。」 ジェイの指が私の顎をすくい上げると顔を近づけて来る。 必死になってジェイの胸を押して顔をそらす。 「なんだよ、今更。お前…俺のファンなんだろ?」 「ファンですっ!でもっ、でも…こうゆうのは、ちょっと…」 「自分から抱きついて来てそれかよ。」 ジェイが苛立っているのを感じて泣きそうになる。
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