第1章 ~出会い~

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「すみません、目を離した隙に出ちゃったみたいで。」 そう話しながら白シュナちゃんを抱き上げて謝る男性。 「はぁ、私は構いませんけど、もしマンションの外に出ちゃったら大事になってたかもしれませんよ。」 と、偉そうに妄想で説教する私。 実際は、 「い、いえ。私も気付かずに通り過ぎてて、対応が遅くなってすみません。」 と、なぜか謝る私。 「とんでもない。ここで引き止めていただいて、感謝してます。」 「いやー、そんな。」 と、満更でもない私。 「御迷惑をお掛けしてすみませんでした。」 「いえいえ、私も何度か同じ事をしましたし、部屋の玄関を出る前に首輪か胴輪、それとリードを着けた方がいいですよ。」 「そうします。実は、今日が初めての散歩で。」 「エレベーターの中で首輪はなんとか着けれたんですが、リードを着けようとしたらドアが開いちゃって…。」 「あっ、そうだったんですか。すみません、なんか偉そうな事言っちゃって。」 「いえいえ、アドバイス有り難いです。あの、このマンションの方ですか?」 「はい、ここの5階に住んで居る、大山と言います。」 「そうですか!俺は3階に住んで居る、橘と言います。」 「このマンションに私以外のシュナオーナーが居たなんて、驚きました。」 「こいつ、コブシって名前なんですけど、2ヶ月前に迎えてやっとワクチン接種が終わったので、今日が初散歩なんですよ。」 「そうなんですか。じゃあ今、生後4ヶ月くらいですか?」 「はい、そうです。よく分かりますね。」 「まぁ、犬っていうか、動物全般が好きでよく見てますから。」 「じゃあ、そういうお仕事をしているんですか?」
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