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「唯花ちゃん、こっちこっちー」
矢倉さんが相沢君の席の前に立って私を呼んだ。
クラスに人は一杯いて、矢倉さんも相沢君のすぐ前にいたのに私の視界にはあの一瞬相沢君しか映さなかった。
「待ってたよー。さーて、どこ行こっか?」
矢倉さんが隣の席のイスを私のために自分の真横に移動させて、言った。
「ありがとうございます!どこでもいいよ!」
「気を使わずにさ、行きたい所いいなよー」
気を使う使わないではなく、こんな時どういった場所で遊べばよいのかわからないのです...。
という心の声は閉まって、
「えと、相沢君は?」
起き抜けの顔な相沢君。これは授業中寝てたな・・・。
でも、そんな相沢君が可愛く見えた。
相沢君は顔立ちが整っている。軽く茶髪がかった黒髪、赤のメッシュ。
そんな人に私は今話しかけている。
1時間前まで関わることなんて一生ないと思っていた人に遊びの約束をしている。
なんだか不思議な気分だった。
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